My name is Doctor Moon. How can I help?【Moon Knight (2021-) #8】

【Devil's Reign】で新たに敷かれた条例により、逮捕されてしまったムーンナイト。では、タイイン誌ではその過程が描かれる?…のは、ワンショット【Devil's Reign: Moon Knight】の方。
オンゴーイング誌からのタイインでは、なんと主人公交代。月下の騎士不在の彼の街に何が起きていたのか、ハンターズ・ムーン視点で描かれます
2021年シリーズで新登場した、もう一人のコンシュー信奉者。黒いムーンナイトを通じて描かれる、コンシュー神話。たとえタイイン誌であっても、狂気のマスクマンは独自路線を進行中。
MK20228- (2)「ようこそ、ミッドナイト・ミッションへ」
いきなり、#1のセルフパロディでスタート。
夜のNYも、闇夜のストリートも、そしてムーンナイト誌も。もはやハンターズ・ムーンのもの?



<あらすじ>
疲弊するヒーローたちと、勢力を極めるウィルソン・フィスク市長の目をかい潜り、深夜の街で次々と起こる猟奇的な殺人事件。現場には必ず、大きなSのシンボルマークが。
捜査線上には、すぐにステンドグラス・スカーレットの名前が挙がる。ボウガンを携えた、悲しき女性ヴィラン。だが彼女は、数年前に死亡したはず。
追えば追うほど、謎の深まる怪奇。これを解けるのは、スカーレットと因縁あるムーンナイトだけ。だが今彼は、サンダーボルツの監視下にある。そこで白羽の矢が立ったのは、もう一人のフィスト・オブ・コンシューだった。
MK20228- (3)犯人は明白なのに、ありえない事件。
神の仕業か、悪魔の仕業か?判断つかぬなら、その両面を併せ持つヒーローに解決を願う。





<物語は神話へ>
ハンターズ・ムーン/バドー。白から黒へ、ムーンナイトの色彩を反転したようなビジュアルを持つ彼ですが、その在り様も対象的と言って良いかもしれません。
学者であるバドーの性格は、質実剛健。月の神コンシューに見初められた彼は、弱者をいたぶる悪を許さない。敵を追い詰める姿勢は、徹底的。ヴァンパイアだと聞けば、マーク・スペクターの助手リース相手でも殺害を辞さず。
獣のように狂乱しながら、時に心の弱さを垣間見せる。コンシューの庇護を受けながら、反逆の意思も見せる。そんなムーンナイトとは、水と油の関係にあるヴィジランテなのです。
現在は、バドーがマークのスタンスも一定量認める形で休戦中。しかしコンシューを妄信する者として、いつまた衝突するか分かりません。

さて、そんなバドーに舞い込んできた依頼。コンシューの右腕が動けぬのなら、左腕の出番。理知的な彼のすること、すぐにスカーレットに関する情報は集まり、捜査網は狭まっていきます。
だからこそ、彼女は既に亡くなっているという確定情報が解せない。ならば街を騒がせているのは、模倣犯なりフォロワーなのか?
決定的な手がかりはないかと、スカーレットが子と夫を失い、その後犯行を重ね続けた教会に潜入した時、ついにバトーは真犯人を目撃します。
MK20228- (4)迂闊に入り込み、囚われた異界。
紅色に染まった空間は、"彼女"の信者が造り上げ、"彼女"が支配する。





悪意の坩堝へと、足を踏み入れてしまったハンターズ・ムーン。瞬間、彼を包み込む不可思議な波動。そして、目の前に現れたのは異形。血の匂いを漂わせながらも、同時に美しさすら感じるそれは、としか言いようがない。
威風を示す巨神。その正体は、スカーレットの死後、恐れ怯える街の人々が、あるいは彼女の生き方に共感した悪漢たちが、その存在を語り継ぎ、積み重ねられたコトノハが形を持ったモノ。
噂が都市伝説になり、やがてそれが神話に至る。世界各地に伝わる神や妖怪とは、えてしてそういったもの。理屈としては分からないでもないですが、実際こうして化けて出てくると圧倒されてしまいます。

"神話、神"を自称するだけあり、スカーレットと呼ばれるモノの力量はたしか。人並み外れた力を持つわけではないハンターズ・ムーンでは、立ち向かうことすらできぬ相手。
こんな存在が裏にいたのでは、事件の真相がつかめぬのも無理はない。そして今宵もまた、闇から闇へ真実が葬り去られるのか。しかしムーンの顔には、意外なほどの余力が。
MK20228- (5)かつてムーンナイトと対決したヴィランは、語られ、人々の心に刻まれた。
それが今、蘇る。人の想像など及びもしない、神として。





コトノハが神に成る。そんなこともあるだろう。我々月の戦士も、それはよく知っている。だが、だというのなら、目の前にいる偽神にはまだ足りないものがある。
神話とは、信頼できる語り手がいて、始めて真価を発揮する。有象無象が言葉を紡いだところで、結局それは無為の塊
こちらには、歴史の中で生まれ、消えていった無数のムーンナイトがいる。彼らがその生涯を持って証明した、本当の伝説がある。だからこそ月の神コンシューは、ステンドグラス・スカーレットなどとは比べ物にならない実体を持って、この世に顕現できる。

赤い神と入れ替わり、空間を支配したのは黒と白。紅の闇も煌々と照らす、月の光。まだ生まれたばかりの幼子に、古代エジプトから語られてきた古神が揺らがされることがあろうか。
戦士の子の招来によって駆け付けた、荘厳たる神の親。以降は、人の領域など知ったことかと、ほとばしる威光で見るものを焼く。
息子のためにと、奮闘したキングピン。寝首をかかれる前に、こちらから子どもたちを"殺る"と動いたパープルマン。邪な親子関係が蠢いていた【Devil's Reign】がどうでもよくなってしまうほどの、守護神という名の父親の降臨。
MK20228- (6)様々に呼び名はあるが、一つたしかなのは、かの者が"神"だということ。
"個"を確立した語り部がいる以上、神の存在もまた絶対。





たった1イシューで描かれるには、アートの美麗さも相まって、情報過多と言った感じの"神の領域"。ハンターズ・ムーンとコンシュー神に美しさを覚えながら、自分は同時に不安も感じました。
実在性を疑われ、時にはマーク・スペクターの脳内だけに存在するかの扱いも受けるコンシュー神。それが彼の下を離れ、一個というには度を過ぎた存在感を獲得していく。
子のあずかり知らぬところで、親が成長。まさに、語るものありきの神話の成立を見ているかのようではあるのですが、今現在のマークとコンシューの距離感を踏まえると、どんな感情を抱けば良いものか。
抱く狂気は、彼本人のものか、神由来のものか?これを振り切って、マークは一人幸福になれるのか?そう問われる中で、親が出しゃばって来るのは、あまり良い傾向には思えなかったのです。
MK20228- (7)神は死せず、スカーレットも眠りについただけ。
その後も"物語"が語られるかどうかは…神のみぞ知る。

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