Wilson Fisk has set on a dangerous and violent path【Devil's Reign (2021-) #1-2】

クロスオーバーイベントの舞台といえば、大宇宙や異世界?そんな規模の大きなものも良いですが、ヒーローの主戦場であるアメリカ、さらにはニューヨークで繰り広げられる、彼らに、そして私たちに密接したバトルも見もの!
コスチュームを纏った超人たちに襲い掛かるのは、仕組まれた悪法。「またか…」などと言いたくもなりますが、ここにデアデビルvsキングピンという宿命の対決が軸に加われば、どうでしょう。
市長にまで上り詰めた犯罪王の、最大最後の侵略。それはもはや仇敵どころか、NY中の名だたるヒーローたちですら、凌げるものではなかったのです。
dr20221- (2)「お前は一体誰なんだ?」
一向にマスクの下の見えぬライバルに、思わず声を荒げる。
王すらも欺き続ける悪魔に、ウィルソン・フィスクはもう我慢の限界だった。



<あらすじ>
犯罪者の王として、またニューヨークの市長として、キングピン/ウィルソン・フィスクあらゆる権限を行使してきた。だというのに、まったくデアデビルのシークレット・アイデンティティを暴くことはできない。
殺人の容疑で牢に入り、信用信頼を失ったはずなのに、あの男はまた何らかの手段を用いて抜け出したのだ。フィスクの中で燻る、敗北感と違和感。相手が自分の認知できない領域でことを成すのならば、こちらもそうするまで。
フィスクは自分の街に、一つの法令を制定する。あらゆる超人の能力の行使、自警活動を禁止するパワーズ・アクトを。これよりニューヨークで力を振るえるのは、ウィルソン・フィスクと、彼の私兵に成り果てたサンダーボルツのみ。
dr20221- (3)悪魔の統治は、これより始まる。
市長様のエンブレムを刻んだ者以外、超人は存在すら許されない。





<悪魔の法>
たとえばキャプテン・アメリカとレッドスカルのように、延々と戦い続ける宿命のライバルはマーベル・ユニバースをざっと見渡しても、ごまんと存在します。しかし、デアデビルとキングピンのような奇妙な関係性にある者は、少ないでしょう。
悪を絶対に許さない、盲目のヴィジランテ。マット・マードックが手段を選ばなければ、彼に勝てるヴィランは多くはない。卓越した身体能力と超感覚で、サクッと暗殺してしまえばいいのだから。フィスクのように、所在が明らかな者ならなおさら。
ところが彼は、そうはしない。権力者であるキングピンを倒すとは、その命を奪うことではない。その悪行への責任を取らせなければ、意味がない。そのためにデアデビルは、あるいは盲目の弁護士は戦っている。

この挑戦を受けて立つ、フィスク"市長"。彼もまた、自らの手足のように動く部下を用いれば、一介の超人を倒すことなど造作もないことでしょう。それでも彼は、そうはせず。(自らの立場を最大限利用しているとはいえ、)地道に宿敵に関する情報を収集。
目的は、マスクの下の素顔を見ること。秘密主義の赤鬼の全てを明らかにすることで、犯罪王の勝利は確立される。少なくとも彼は、それを勝利条件としている。

両者とも、傍から見れば妙な拘りを持っているよう見えるかもしれません。もっと楽に勝てる手段があるのに。
でも彼らは、彼らなりのルールの上で戦っている。どちらも、決して日の下を歩けぬ存在だというのに、に則って生きている。これを特異だと言わずに、何と言いましょう。
dr20221- (4)ヤツらは何度も、この街を危機に晒した。
マスクの下に殺人鬼がいるかもしれないのに、貴方たちはヤツらを信じるのか。
"市長"は、街の人々を護るため、マスクヒーローの排斥を宣言する。





この奇妙な、信頼と言っても良いかもしれない関係性が崩れ去るところから、【Devil's Reign】はスタート。
フィスクはある日、これまで集めて来たデアデビルの情報が、なんら意味のないものに変わり果てていることに気づきます。もうあの男の尻尾まで掴みかけていたはずなのに、まるで狐に化かされたように、手元に残っているのは無価値な資料
実はこれ、パープルマンの息子が世の人々の認識を改変したため。一度はデアデビル=マット・マードックという事実が、世に知られるところになっていたはずなのです。ところがそれが、魔法の一手でなかったことに。

こうなると、フィスクの胸には一方的な違和感が残るばかり。といって、憎き相手が「私はこれこれこうした」なんて教えてくれるはずもなく。ヤツは確実に、"何か"をした。それを推し量ることすらできないのが、これ以上なく歯がゆい
こうなっては最早、従来のルールなど犯罪王の意に介するものではなくなっていました。目には目を、と言っても良いのかもしれません。デアデビルが何かおぞましいことをしたのなら、キングピンも同様の強行を。
"パワーズ・アクト"によって、市内の超人たちの行動を一律に規制してしまったのです。

エイリアンや異次元人たちの呼び水になっているのは、いつも"ヒーロー"を名乗る者たち。彼らの狼藉を問い詰めることによって、やっと街には真の平和が訪れる。
お決まりの題目を並べてはいますが、デアデビルという殺人犯が出た直後とあっては、市民にも訴えかけるものがあります。
ましてやそれが、"市長のお言葉"とあれば…がニューヨーク中に行き渡るのに、さほど時間は掛かりません。
dr20221- (5)それが善意、あるいは何か利益をもたらすものならば、ヒーローにも賛同者がいたかもしれない。
だがパワーズ・アクトは、明らかに"報復の道具"だった。





この法令の恐ろしいところは、デアデビルやムーンナイトといったヴィジランテのみならず、キャプテン・アメリカやアイアンマンといった自信の能力・技術で国に貢献しているヒーローにも、適用されることでしょう。
例外は、市長公認のサンダーボルツのみ。燃えるビルから人を助けたマイルズスパイダーマンも、日夜発明品で人助けをするファンタスティック・フォーも、等しく逮捕の対象
dr20221- (6)力や研究が奪われても、私たちは"ファンタスティック"だ。
牢に入れられても、威風堂々。それは虚勢か、正しいことをしているという自負か。



当初立派な演説こそしたものの、制定後は容赦も遠慮もない取り締まりが、なおさらパワーズ・アクトを我欲に起因するものだと印象付けます。
スパイダーマンが相対したのは、デイリー・ビューグルの記者たちを人質にとったタスクマスター。しかし、正しいのはフィスク配下たる後者であり、超能力を奪う手錠をかけられるのは蜘蛛男の方。
(キングピンが知る由もありませんが)マスクの下を公表し、ベン・ライリーだと分かっていれば、何か違ったかもしれないのに。悪いのは、秘密を持っているマスクヒーローたち。そんな道理が、"フィスクの街"では平気でまかり通っている
dr20221- (7)徹底的にやられたスパイダーマンに追撃をかけるのは、ドクター・オクトパス。
彼もまた、マスクヒーローの全てを奪わんと死力を尽くす者。
リード・リチャーズから奪った転移ゲートを起動すると、中から…





ここまでやられては、ヒーローたちも防戦一方とは行きません。といっても上述の通り、力で押すのは得策ではない。街の権力者として振る舞う相手を、雷神ソーやハルクが粉砕したとして、それで勝ったと言えるでしょうか。
エスカレートしていく相手に応じていては、まさにキングピンの言う通り、街を混乱させるだけ。彼らは法を弄する相手に、正攻"法"で戦うことを決意。
dr20221- (8)マットから、デアデビルの名を継承したエレクトラ。
彼女は忍者としてのスキルを活用し、フィスクを闇討ちしようとするが…その情報力の前に、返り討ちに。
赤い衣をまとったアサシンには、相棒に知られたくない秘密が?



まず行動を起こしたのは、ルーク・ケイジでした。デアデビルやスパイダーマン同様、NYの下町に密着したヒーローですが、今回彼の強みとなっているのは、これまで常に素顔で戦っていたこと。
ゆえに、恐怖を抱く人々への信頼が違います。サンダーボルツの暴力と、パワーマンの剛腕。どちらが人々に、頼もしさを覚えさせるか。
フィスクに対する怒りが頂点に達したルークは、市民に訴えます。今は"俺たち"を縛っているだけだが、自由を抑制する法というのは、必ず誰彼構わず攻撃するようになる。
囚われるムーンナイトは、傷つけられるスパイダーマンは、"俺"であり、俺たちなんだ。この不条理を、みんなは黙って見ているつもりか。
人々も、もの言わぬ傍観者に徹していれば楽だったでしょう。でもそれでは、無惨な光景に募る恐怖、敗北感は拭えない。そこに降り注いだ地域密着ヒーローの演説は、あまりに心強いものでした。
dr20221- (9)見た目ばかり豪勢な街を背に、彼は市民一人一人に訴える。
虐げられたくなければ、声を挙げろ。



同様に市民を動かそうとしていたのが、トニー・スターク。アイアンマンとしてだけでなく、公人としても立場ある彼も、パワーズ・アクトが適用される一人でした。
そもそも法的に、ウィルソン・フィスクを降ろそうと仲間たちに提案したのは彼。"ビリオネアのアベンジャー"の肩書通り、トニーにはそれだけのがある。
政府にも顔が効く男が、悪法に晒される者たちのリーダーとして動こうとする…のですが、話はどうやら、彼の思惑とは違う方向に。

期せずして、2人の船頭が登場。己の心情を吐露しただけのルークと、合理的な計算を行うトニー。普段ならば相乗効果も期待できそうなところを、市長を倒すシンボルが何より欲しい状況では、都合が悪い。
さあ、どちらの神輿を我々は担ぐべきか。迫る判断の下に生じる、ゆっくりとした、しかし避けられない亀裂。これも、【Devil's Reign】の見どころになることでしょう。
dr20221- (10)フィスクの影から逃げ惑うヒーローたちが選んだ旗印は、ルークだった。
援助はまったく惜しまない。周りに一応の同調をする、鋼鉄のアベンジャーだが…





計算外のことが起こっているといえば、フィスク市長の方も。彼はパワーズ・アクトをNY以外にも適用するため、さらなる権力を得ようと、大統領選に立候補しようとします。
これに関しても無策ではなく、マットがパープルマンの"息子"の力を借りたように、彼もパープルマン"本人"を擁している。彼の異能力を使えば、世界を思いのままにするのも、難しくはないのです。

ただ、いくらデアデビル憎しとはいえ、どうしてフィスクはここまでことを急ぐのか。何故なら、彼もまた家族を想っていたから。
キングピンの名を継がせた息子、バッチ・ファリスにできる限りのものを遺したい。そこには、紛れもない父親の顔が見て取れます。
しかし、これまで家族のことなど鑑みなかった"前"犯罪王の言葉。バッチには、全てが白々しく聞こえる。
そもそもフィスク自身が、妻子のために戦うルークの人権を阻害し、憎悪渦巻くパープルマン親子を利用しようとしているのに。何を父親面しているのだ。果たして、その剛力の下に隠れた親心は、報われるのでしょうか。
dr20221- (11)"キングピン"にはなっても、"ウィルソン・フィスク"にはならない。
親の心、子知らず?バッチには、独自の計画があるようだ。





恐怖を知らない男と、裏社会のドン。彼らの伝統の一戦を眺めながらも、パワーズ・アクトという法を中心に、あらゆる登場人物の思惑が入り乱れる
タイイン誌も、たとえばスパイダーマン、たとえばサンダーボルツと、正悪様々な視点から刊行され、より一層の世界観の広がりを予感させます。
世界の中心といっても過言ではない、大都市ニューヨーク。そこに住まう、本当の悪魔は誰なのか。戦いはまだ、始まったばかりです。
dr20221- (12)ヒーローvsヴィランの政権闘争は、次のステージへ。
拳ではなく、声と想いをぶつけ合う戦場で、勝利を手にするのはどちらだ。

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Author:早坂よもぎ

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