Taskmaster has murdered S.H.I.E.L.D.'s Maria Hill!【Taskmaster: The Rubicon Trigger】

映画【ブラック・ウィドウ】のヴィランに抜擢された、タスクマスター。MCUフェーズ4開幕と同時に、マーベルの誇る名脇役が参戦し、シリーズのより一層の広がりを感じられました。
…が、正直MCUナイズされたキャラクターに、不満があったのも事実。コミックで見知っていると、見た目はともかく、性格やスタンスもまるで違うじゃないか。
こうなれば、タスクマスターを主役としたミニシリーズを読んでしまいましょう。【The Rubicon Trigger】は、映画の宣伝も兼ねて刊行された全五号のシリーズ
ここでも彼は、ブラック・ウィドウと戦うことになるのですが、どうやら映画とは追う追われるの立場が逆転しているようで…
TM2020- (2)クソ野郎の手助けが必要?そんな時は、タスクマスターまで!
暗殺から潜入、「誰かの動きのコピー」まで、なんでもござれ。



<あらすじ>
傭兵稼業の"営業"中、タスクマスター/トニー・マスターズは何者かの襲撃を受ける。これを助けたのは思わぬ人物、ニック・フューリーJrだった。
曰く、元シールド長官のマリア・ヒル殺害された。殺人容疑がかかっているのが、他ならぬタスクマスター。同じく元エージェントのブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフが、容疑者のを狙っている。
寝耳に水の話に、平静を装いながら、トニーは驚くしかない。一方フューリーは、ヒルが封印をしたまま遺した装置、ルビコン・トリガーの解析をしたいと言う。
冤罪を解くため、タスクマスターに課せられた使命。それは封印の解除に、3人の要人動きをコピーすること。ルビコン・トリガーのデータを開示すれば、ヒル死亡の真相も見えてくる。
TM2020- (3)それでも俺は、やってない!
自分にかけられた濡れ衣を晴らせるのは、自分だけ!





<ヴィランが真似できぬもの>
まったくあずかり知らぬところで起きた殺人事件に巻き込まれるなど、トニーからしたらいい迷惑。とはいえ、居合わせるはずのない3人の動きを真似て、生体認証を突破するなど、彼にしかできない仕事。
必要に迫られて、また適度におだてられて、冤罪払拭のミッションへいざ。#2-4では、ターゲット一人一人に接触する様子が描かれています。

まず向かったのは、同じアメリカ国内。いまやスクアドロン・スプリーム司令として知られる、フィル・コールソンの下。ガードの堅い人物ではあるが、プライベートのコミックショップ巡りの最中であれば、襲いやすい。
ただし、あまりグズグズはしていられない。司令官に危機が迫ったとなれば、世界最強のボディーガード、ハイペリオンがやってくる。ラーニングが先か、超人の到来が先か…現実は非常ながら、ほぼ同時。逃げようとするトニーの前に、橙色のマントマンが。
いくら腕に自信のある傭兵とはいえ、超太陽級が相手では分が悪い。フューリーは即時の撤収を呼びかけます。
TM2020- (4)こちらが一度殴る間に、この連打!
いくらなんでも不平等!!



ところがどういうわけか、白骨の剣士はこれに真っ向勝負を挑みます。目的を達したのだから、直接対決で勝敗をつける必要などない。仮に倒すことに拘るにしても、プロならもっと利口なやり方があるだろう。
だというのに、相反する行動。トニー自身も、内心苦笑い。天地がひっくり返ろうと、に勝てるわけないじゃないか。
それでも引かなかったのは、明らかにハイペリオンが傭兵タスクマスターをナメていたから。彼には敵に背を向けるよりも、もしかしたら命を落とすよりも、死守せねばならないラインがあった。それが、無謀な戦いとして表れます。
TM2020- (5)骨を折られようと、秘密兵器を使うことになろうと。
曲げちゃならない部分が、彼にはある。





次なる目的地は、韓国。そこには、韓国版の超人兵士を造り出そうとする研究所の責任者、アミ・ハンが待っている。フューリーの用意した海賊版ピム粒子で、研究所へ潜入。女所長の動きを真似てやろう。
ここで彼を苦戦させたのは、新たなスーパーマン・テグッキでも、施設を護っていた同業者ホワイト・フォックスでも、ましてや意外と効果時間の短かった粒子でもありません。ついに追いついてきた、ナターシャ・ロマノフ。
一エージェントとしてヒルに師事していたフューリーからしても、あの女を信頼していた者などいない。その気持ちは、散々煮え湯を呑まされてきたブラック・ウィドウにしても同じ。
それでも、がヴィランに命を奪われたのであれば、ケジメをつけなければ。そうして迫って来る、冷徹なる暗殺者
TM2020- (6)コピー能力者タスクマスターの本領発揮。
華麗なる技の数々に、九尾の狐の末裔もタジタジ。



これが、どれほど恐ろしいものか。饒舌なタスクマスターのモノローグから、嫌というほど知ることができます。単に戦うなら、他のアベンジャーやハイペリオンの方が、ずっとだったろう。
だがブラック・ウィドウは、殺しのテクニックを知っている。持っている。それで容赦なく襲い掛かられたら、次の瞬間俺の首はどうなっているか。
さらに聞けば、この女は最近死んだはずなのに、いつの間にか蘇ってきたというじゃないか。殺しの報復を自分でしてくる相手とやり合っていたら、とてもこちらの身が持たない。
悩み、散々毒を吐いた挙句、トニーはナターシャに背を向けます。そもそも自分は犯人じゃないのだから、こんな勝負に固執する意味なし
TM2020- (7)どんなイレギュラーも乗り越える自信はあるが、さすがにこれは分が悪い。
不死身の相手に、命を取った取られたの対決ができるか。





最後のターゲットは、ブラックパンサーにワカンダの国防を任せられた戦士オコエ。下手に突つけば、国家を相手どらなければならない。
タスクマスターも考えます。まずは適度に挑発。そして、そこまで言うならば実力を見せてみろと、出てきた兵隊やオコエ本人と対決
これでまた、鍵となる相手の身振り手振りを好きなだけ観察できる。フリーランスの傭兵の武器は、力や能力だけではない。世渡り術が大事だと思わされる部分。
TM2020- (8)潜入と同時の大歓迎。
さて、あとは思惑通りに行くかどうか。



ネット界隈だと、イニシアティブ時代の功績から教官なんて呼び親しまれている彼ですが、ここではそんな彼の一面も垣間見えます。
パンサーたちの装備の脆弱性を訴え、続けて言葉でまくしたてる。ブラックパンサーのような捕食者が本当の戦士なら、お前たちは到底そこには及ばない。
己の技術を披露し、相手を奮い立たせ、またそれを上回る攻撃を繰り出す。ターゲットをおびき出すための作戦ではあるのですが、仮面に隠れているはずの自己主張も感じ取れるのではないでしょうか。
TM2020- (9)素手に対して槍を繰り出す相手にも、戦い方はある。
本当に「学んでいる」のはどちらか。





物語中盤の流れを列挙してみましたが、もしかしたら違和感、チグハグさを覚える人もいるかもしれません。
ハイペリオンとの戦いでは誇りを見せたかと思いきや、ブラック・ウィドウからは尻尾を撒いて逃げている。ブラック・ウィドウ相手に慎重さを説いたかと思えば、オコエたちワカンダの戦士には侮りを見せている。だというのに、ハイペリオンのような驕った相手は許せない。
しかし部分部分の語り、そして終盤の展開を見ると、実はこれにこそ、タスクマスターなりの一貫性があるのが分かるのです。これこそ、物語のキモ

まず第一に、この事件には明らかな黒幕がいる。トニーとフューリーにルビコン・トリガーを解読させ、これをナターシャに追わせる。この構図で、得をする者がいる。
コイツだけは、許せない。これはハイペリオンに見せた、タスクマスターをナメるヤツは許さないという主張にも、共通するでしょうか。
ただこのゲームに、そこまで本気で付き合ってやる義理もない。濡れ衣を外せるならば、ほどほどにという気持ちもあります。



他方で、彼には考えることが。そうして俺たちは懸命にやってるのに、ヒーローたちのなんと傲慢なことか。
たとえば俺やブルズアイは、弱点とならないように、妻や恋人を持たないようにしている。ところがスパイダーマンやルーク・ケイジは、家庭を持っている。
そしてそれが脅かされた時、ヤツらは言うのだ。俺に挑んでくるならいいが、家族を傷つけるなんて許せない。愛の力で、卑劣なヴィランたちを倒す。
それほど大事なものを壊されるのが嫌なら、最初から持たないようにすれば良いのに。モチベーションのため、壊れるために絆や愛を紡いでいるのに、どうしてあんなに正義面ができるのだろう。

おそらく誰もがもっとも大切にしているであろう、に関してもそう。俺は1個しか持っていないから、退き時を弁えている。無理はしても、無茶はしない。
だというのに、アイツらには生き返る権利がある。魔法を使ったのか、クローンを使ったのか、方法はどうでもいいが。とにかく、生き返って来てこう言うのだ。さあ、アベンジだ。死と敗北を経験して、もっと強くなった私を見せてやる。
これもまた、どんな不平等だ。まるで、誰かに護られているよう。そんな相手と真面目に戦うなんて、バカらしい
TM2020- (10)やればやるだけ、俺たちだけ追い詰められていく。
こっちには、地獄の底からエールを送ってくれる死者も、都合の良い回転ドアもないのに。



無敵のヒーロー、不滅のヒーローが、時にタスクマスターには恐ろしく映る。逃げ出したくなるほどに、あるいは馬鹿にしたくなるほどに。そして今回は、この戦いの根本的な構図を考える内に、許せなくなっていた。
傭兵タスクマスターには、魔人サノスや征服者カーンのように、アークヴィランになれるほどの大義や強靭さはない。あくまで、本業の稼ぎがプラスになればそれで良い。
ただそのラインは、他の誰かではなく俺が決める。ヒーローでも、黒幕の何某でもなく、俺が線引きする。それが、今日はたまたま"ここ"だった。
何とも自分勝手。プライドも何も、あったものではない主張。しかしそれこそ、彼のプライド。もしその言葉で、「痛いところを突かれた」と思う者がいたとしたら、それこそ…
TM2020- (11)仕事は果たす。それがロクデナシ男の、もう一つの流儀。
だがその後は、知ったことか。ヒーロー様のスーパーパワーで、どうにかしてくれ。

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No title

ホワイトフォックス…ブラックキャットの方で挽回してほしいところ

No title

>No nameさん
コメント、ありがとうございます。
AoA誌を追いかけていただけに、私もホワイトフォックスに良いところがなかったのは、残念でした。ブラックキャット誌の展開で出番多そうなので、今度は期待したいですね
プロフィール

Author:早坂よもぎ

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