Self-Examinations【Fantastic Four #31】

外宇宙からの強敵との対決以来、グリーヴァーにヌルと、超スケールの死闘を続けるファンタスティック・フォー。たまには初心に帰り、気ままな旅も必要でしょう。
が、やはりスリルとスペクタクルは彼らを待ってはくれない。しかもそれが、家族との絆から生じるものとなれば、単にヴィランと戦うよりも、よっぽど困難な課題
リード・リチャーズとベン・グリムが赴いた先、そこは無限の宇宙に見えたのですが…実は、彼らにしか見えない「恐怖」が広がっていたのです。
FF202131- (2)鬼ならぬ、家族のいぬ間に、心の洗濯。
親友同士の歓喜の声が、未知の空間に木霊する。



<あらすじ>
ファンタスティック・フォーの名コンビ、リード・リチャーズとベン・グリム。それぞれが子どもを育てるようになってからは、久しく忘れていた時間。彼らは二人きりで、フォーエバー・ゲートを使っての冒険に出かける。
そこには、ミスター・ファンタスティック垂涎の、神秘と発見が待ち受けていた。友の楽しそうな姿に、ベンも退屈しながら、満足気な表情。だが、彼にもすぐさま出番が訪れる。いつの間にやら二人は、無数の敵に囲まれていたのだ。
一方、地球に残されたアリシア・グリムやスーザン・リチャーズ。彼女たちも自分たちの子どもと相対し、解決しなければならない問題に直面する。
FF202131- (3)突然現れた、どこかで見たような敵。
一体これらは、どこから現れたのか。





<想像が冒険者を強くする>
ゲートを抜け、見知らぬ世界への船出。久方ぶりの「本業」を、心から楽しもうとするベン・グリム。しかし、リードが実際に何を考えて友を誘ったのか、ここまで【Fantastic Four】を読んだ読者には、想像に難くないでしょう。
グリーヴァーが見せた、二人が殺し合う未来。忘れると誓ったその光景が、どうしても世界一賢い男の瞼からは消えないヌルとの戦いの最後には、ビールと共に呑み込んだはずなのに、口から出したくて堪らない。
もしかして一方的にできたかもしれない溝を埋めるため、リードは二人だけの時間を設けたのでした。

そして現に、ベンとは異なりリードばかりがこの件を気にしていると、皮肉なことにフォーエバー・ゲートを出た先で明らかになります。
リードが求める科学の解答が見つかるのも、ベンの暇をつぶす相手が現れたのも、ここが考えたことを現実にする世界だから。その構造を知ったがゆえに、余計に想像は鮮明になっていきます。
やがて再現されたのが、あの未来。誰あろう、リードが考えてしまったものです。これを忘れるために出かけたはずなのに、ああまた終わりがやって来る。
FF202131- (4)グリーヴァーが、リードに何万回も見せた夢の世界。
ベンが認知していない部分も多く、それが再演されるということは。



このあとベンのふいの一言で、二人は脱出に成功します。ただ言い換えれば、こうして脱出できてしまうこと自体が、問題を先送りにする原因なのかもしれません。
ミスター・ファンタスティックの、類稀なる頭脳と行動力。彼の閃きを現実のものとする、ザ・シングのパワーと発想力。これらが揃えば、そうそう立ち向かえる相手はいない。だからこそ二人は、その時々に生じる問題を見てみぬふりをする癖がついてしまった。
これはある意味、リードとベンの距離が近すぎることも問題なのでしょう。家族という肩書のために、友二人は心的な課題に切り込めずにいる。
二人の友情にスーとジョニーが加わり、子どもが生まれ、ここまでやって来た。そうした絆の強さに、頼りすぎている部分があるのではないか。もっと彼ら個人が、解き明かすべき数式が用意されているのに。
FF202131- (5)声を揃えて、二人が「想像した」ゲートへと飛び込む。
FFは、いつもこうして不可能を可能にして来た。だがそのために、「大事」を見逃していないか。





これと同様のことが、現実世界に残った他の家族たちにも言えます。ベンの妻、アリシアとスクラル人の養子、ナカッラなどは、まだ縁を紡いでいる段階。
少女が登場当初、既にアリシアを知っているようなそぶりを見せていた理由が、今回明らかになります。スクラル星の兵士として訓練を受けていた当時、彼女にも癒しの時間が必要でした。
縋るように行き着いたのが、スクラルが地球侵攻のために用意していた、アリシアのクローン。戦いしか知らず育てられていたナカッラにとって、ニセモノとはいえ、無垢な地球人は天使のように見えた。
幼い頃は、培養中のそれに、語り掛けるだけだった。そして今、ホンモノに出会い、あろうことかとして迎えられている。これがどれほど、至福だったか。戦士として生きるしかないと思っていたスクラル人の、転機となったか。
改めて感謝を口にし、アリシアもこれほど自分を想ってくれる子を迎えられたことを喜ぶ。結婚したばかりのグリム一家の、また強く結ばれる場面が描かれています。
FF202131- (6)アリシアから彫刻を教えてもらうことに、ナカッラは乗り気ではない様子。
しかしそれは、これ以上「母」から愛をもらうことを、恐れていたから。
こんなに幸せで、良いのだろうか。



これに比べると、やはりで繋がっているリチャーズ一家には、それがになっている部分があるよう見受けられます。
【King in Black】でスーが弟ジョニーの後をつけていた姿は記憶に新しいですが、彼女はこれを息子フランクリンにもやりかけます。創造の力を失って以来、塞ぎ込むことが増えた我が子。これに、何とかしてやれないか。
リードが家長としての役割を疎かにしがちなこともあり、母親スーザン・リチャーズの気持ちも分かります。しかしそこまでベッタリであることが、ティーンを迎えた男の子のためになるか。
今だからこそ、姉にそれを指摘できる。遠巻きに親子を眺めていたジョニーにチクリと言われますが、さてスーの側の気持ちの整理はつくのか。
FF202131- (7)不滅の四人に、また別のしこり。
フランクリンとジョニー。スーザンは「二人の息子」の目を見ることができない。





フランクリンほど目に見えて傷を負ってはいないものの、ヴァレリアにも少しずつ変化が見られます。このところ、リードも舌を撒くほどの活躍を見せる発明少女。フランクリンの相談にも乗ったりと、傍目には絶好調に見えるのですが。
ところが彼女、まだ遠い星で経験した失恋が尾を引いているようで。少女としてでなく、一人の超人として、研究開発に没頭することが、一つの逃げ道になっているのです。
それで成果を出しているのだから、責めるべき部分は見当たりません。男の子と一緒になることだけが、ヴァレリアの幸せでもないでしょう。ただこの逃避は、認められるべきものなのか。
少女の異変に気付いたのは、彼女を一人の女の子として愛する、フューチャー・ファウンデーションのベントレーのみ。そしてそれは、彼の境遇にも荒波をもたらします。
FF202131- (8)やがてベントレーの愛は、歪んだものになっていく。
ヴァレリアが真っすぐに生きられない、世界の方が間違っているんじゃないか。



父親たちは無事家へと帰還し、子は自らの能力を活かしたフィールドで活躍中。プラスの面だけを眺めれば、ファンタスティック・フォーはマーベル・ユニバースでも随一ノッているチーム。
では、ベンやジョニーも含めたリチャーズ家としてはどうか。その雰囲気にかまけて、ヒーローでは気づけないような綻びから目を逸らしてはいないか。本当の意味で個々人が向き合うべき課題を、後回しにしていないか。
おそらくすぐに、一家には次なる強敵が迫ります。ミスター・ファンタスティックたちのパワーは、それを必ず跳ね返すことでしょう。しかし一度家に帰って来た時、リード・リチャーズたちの身に、何か致命的なことが起こらないか。新たなエピソードでは、そんなことが気になりそうです。
FF202131- (9)フランクリンは家を離れ、カウンセリングを受ける。
人の心のもっとも暗い部分を映す能力者、トラウマが彼に見せたヴィジョンは。

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