Whawt's a god to a king?【King In Black #4】&【Venom #33】
エディ・ブロックの死に翻弄される、ヒーローとディラン・ブロック。一方のエディは、邪神ヌルの造り出したハイブに捕らわれている。
どちらを見ても暗黒、虚無。それでも、何かできることはないか。次第に立ち上がり始める、反逆者たち。やはりヒーローとは、こうでなくては!
前回に続いて、【Venom】、【King In Black】の順でご紹介。地獄にあっても、決して膝をつかない英雄たちの生き様を見よ!
ここからが本当の地獄、ヌルの世界。
それでも彼らは、神を騙る魔物と戦う。
【Venom #33】
エディ・ブロックは、ヌルの構成するハイブにおいて、レックス・ストリックランドとフラッシュ・トンプソンと再会した。ここは、シンビオートとの関わりを持った者たちの魂が留め置かれる場所。
ならば、ここからヴェノムや他のシンビオートと繋がれば、同様に囚われている者たちを解き放ち、ヌルに対して反撃を仕掛けることもできるのではないか。誰よりも長くシンビオートを纏ってきた男は、ヌルやディランとのコネクションを感じながらそう語る。
しかしそれは、ハイブのより深淵へと挑む決死行。もし気づかれれば、今度は魂ごと消されかねない。それでも、エージェントと呼ばれる者たちは、飛び込む覚悟をするのだった。
地上では、我が子が奮い立っている。
ならば親のすることは、彼を護ること。なんとしてでも。
<親子の選択>
まずは、スパイダーマン/ピーター・パーカーとディラン・ブロックの、とある語らいからスタート。【King in Black #3】では、勝利のためとはいえ、ピーターやリード・リチャーズが子どもに戦場への同行を求めるのは、少々違和感があったのですが、それはこちらでフォローされています。
シンビオートの神による侵攻、漆黒に染まった地球。何より、父親の喪失。どこを見ても、失意しかない、希望などない。そこにディランがヌルと同質の力、シンビオートを操る力を持っているとあれば、縋りたくなる、頼りたくなるのは当然のこと。
…だからといって、スパイダーマンは彼に、戦うことを決して求めませんでした。そうするしか、勝利の道はないにも関わらずです。
彼に関わらず、多くのヒーローは必要に迫られて、そう呼ばれる存在になった。しかし今ディランは、その岐路に立っている。ならば、必ずしも求められる通りのことをする必要はない。
それよりも、助けを求める勇気を持ってほしい。そうしてくれたら、ヒーローは君を何があっても助けよう。なにせ、これまでもこの程度の危機何度も乗り越えて来たのだから。
スパイダーマンの名調子。その裏には、多くの強がりが含まれていることを、私たちはよく知っています。そうでなくとも、彼らに余裕がないのは明らか。
にも拘らず、少年に投げかけられたのは優しい言葉。道が一つだなんてことは、絶対にない。これはディランを元気づけるだけでなく、ピーター自身が希望を見出すための主張でもあるのかもしれません。
僕はエディと約束した。
何があっても達成しないと嘘だ。
そして、往くか往かざるか、選択を迫られている男がもう一人。誰あろう、ディランの父親、ヴェノムを奪われた裸の男、エディ・ブロックです。
ピーターとの問答がありつつも、(様子が平常ではないという不安材料を残しながら)死地へと赴いたディラン。ソーの救援があり、段々とヌルの支配を解いていきます。キャプテン・アメリカを始めとした黒く染まったヒーローたちも、ハイブから姿を消していく。
それによって開かれたのが、赤いゲート。すなわち、ハイブのより深部へと向かう手段。今までいたのが、現世と死後の世界を繋ぐ煉獄ならば、ここから先は紛れもなく地獄。
異様と呼ぶのも生ぬるいその場所へ、エディは迷わず足を踏み入れます。ここは邪神のより内面であると同時に、彼の言うことを聞かないシンビオートを隔離する場所。
であれば、エディ、レックス、フラッシュといったシンビオートホストたちがこれと繋がれば、虚の王の支配を解き放つ、乾坤一擲になりうる。こんな場所に入り込めたということは、段々と事態が好転し始めたと見ていいのでしょうか。
現世へと還っていく、囚われの人々。
反撃するは今。シンビオートホストたちよ、続け。
しかしそれは、ヌルに気づかれて当然の、捨て身特攻。成功する確率が、どれほどあろう。賭けというには、あまりにも分が悪い。
なおもエディが進むのは、自己犠牲の精神があればこそ。ここで見事に散って見せることで、子が、他のヒーローが、世界が救われるならば…
これを止めたのは、フラッシュ・トンプソンでした。エージェント・ヴェノムと呼ばれた彼の死に際して、エディはその墓前で代わりに絶対にヒーローになってみせると誓いました。
キャプテン・アメリカに憧れ、彼のように国に奉仕すると誓い、散って行ったフラッシュにとっては、一見望ましい手向けの言葉。ただそこに、我が身を滅ぼす覚悟を感じ取ってしまっては、到底受け入れるわけにはいかない。
そのための反論を、今ここでしてみせます。
エディがヒーローになると言ってのけたのは、彼がこれまでの失敗を悔いていたから。悪人のレッテルを剥がそうともがきながら、それから逃れられないと諦めていた。だからこそ、振り絞って出た言葉。
しかし、本当にそんな考えを持つ必要があるだろうか。失敗をしていない人間なんて、どこにもいない。それでキャップやスパイディと肩を並べる資格がないなんてこと、絶対にない。
英雄と呼ばれる人々が戦えるのは、失敗なんて恐れずに、今を生き抜こうとしているから。「子」を護るため、必死で戦っているから。
かつて、シンビオートをヌルの支配から解き放とうとしたレックスは、失敗した。
だが今ここには、「俺たち」がいる。最高のエージェントたちが。
そして、それをこの地獄で、誰よりもしようとしているのが、エディ・ブロック。君はもうヒーローなんだ。かつて同様にヴェノムとなり、ヒーローになろうとした男の言葉。これが今度は、どれだけエディの支えとなったことでしょう。
ここでようやく、彼にも選択の時が迫ります。ヌルの支配に、ひたすら脅かされる時間。これを打ち破るため、死を覚悟しなければならない時間。そんな一本道は、もう通り抜けた。
往くか、往かざるか。ディランがそうであったように、エディにも道を択ぶ瞬間。その答えはもう、決まっていました。
ヒーローであることに、失敗なんてない。
さあヒーローよ、打って出よう。「俺たち」はヴェノムなんだ。
今唯一シンビオートを纏っているフラッシュが先に飛び込み、エディは待ちの姿勢。無謀にしか見えない特攻と、それに相棒を臨ませる理不尽。ここで起きているのが、そんなものではないのは明らか。
助けを求める勇気と、地獄を進む意志を持ったエディ。そんな彼を信用し、護ると決めたフラッシュ。
選択を終えた彼らは、まさにヒーロー。二人のヴェノムの雄たけびが、ヌルの世界をも突き破ろうとする。
…しかし、まだ邪神も滅んではいない。精神世界での踏ん張りが、現世にはどのような影響を与えるのか。
それは、フラッシュがシンビオートを解放した証。
暗黒の神の眷属ではない。「アンチ」ヌルドラゴンが、地獄に飛翔した。
【King In Black #4】
ヒーローたちの切り札として立ちはだかったソーも敗れ去り、地上ではアイアンマン/トニー・スタークがかろうじて抵抗するのみ。頼みのディラン・ブロックには、ヌルの甘い誘惑が迫る。
お前は、こんなところで終わる必要はない。お前は、特別な存在なんだ。息子よ、これからは共に、この世界を支配していこう。
少年は神の手を取るかと思われたが…脳内に響く声に促され、彼は誘いを拒絶した。目の前にいるのは、父親の仇なのだから。
依然変わらぬ四面楚歌。
だが、「光」はここにある。ここから始まる。
<お前は神でも父でもない>
地獄で敵、そして物語の中核へとエディ・ブロックが迫るのと時同じくして、ディランも邪神ヌルと直接対峙。黒塗りにされた世界においては、その声に、危うくなびいてしまいそうになります。
ましてや、彼の瞳には黒い闇。ヌルの影響を受けている証。破壊衝動を持って、そのままシンビオートのように虚の王の眷属に変えられてしまうのではないか。
ところが、そうはなりませんでした。瞬間再現されるのは、エディがハイブで見た光景。ディランが逆にヌルの能力を利用し、囚われていたヒーローたちを解放していく。
僕とお前の間に特別な繋がりがあるというのなら、それを存分に使ってやる。支配を反転し、逆襲の狼煙として。
エディの息子として、何度も死地を潜り抜けて来た子ならではの啖呵。ただそれは、決して一人で成せたものではありません。
まず大きな助けとなったのは、少年を勇気づける声。闇に屈せず、そこから脱せられるように、ディランを導く。
その優しい波の正体は、X-MENの誇るテレパス、ジーン・グレイ。彼女が満を持して、その念波を最大限に活用しているのです。
ヒトよ、ミュータントよ、今こそ地球を護る時!
彼女の練り上げた策が、戦場を駆け巡る。
さらにジーンは、ディランが反撃に出たのを見計らって、現世に戻ったヒーローたちにも囁き。これまで劣勢だったのは、波状攻撃と言えば聞こえは良いが、各個での戦いに拘っていたから。
炎、音、魔法…それらは、たしかにシンビオートの弱点かもしれないが、一つ一つでは弱い。では、束になってみればどうだろう。
超能力者の号令により、ドクター・ストレンジ、サイクロプス、ヒューマン・トーチ、インビジブル・ウーマンが一斉蜂起。最大級のエネルギーが集まって出来た光の前には、闇の軍勢もひとたまりもない。
そこに、これまで苦戦を強いられていたヒーローたちも続々加わるのだから、なおさらです。誌面を覆う強火力は、実にスカッとする展開。
一人一人の力が波を立て、やがて大津波に。
黒に染まったニューヨークの汚濁を、押し流していく。
しかし、これではまだヌルを弱らせている止まり。闇の進軍を止めるには、もう一押しが必要。続けてジーンは、隙の出来たシンビオートの神の精神に入り込みます。
まず見えて来たのは、やはり強すぎる漆黒の意志。宇宙開闢以来練り上げられてきた侵略、支配欲にはつけ入る余地がないように見える。
そうして諦めもよぎった時、一つの光明。たしかにヌルとは、恐るべき存在。ただ彼とて、闇そのものではない。なぜなら「それ」は、彼が生まれ出づるよりもっと前から存在していたのだから。
ならば、その傍らにはあの力があったはず。この宇宙とは、闇と「あの力」が争って出来上がったのだから。遥か大昔に、それは闇の前に敗れ去ったのかもしれない。その時は、あまりに若く、か細い力だったのだろう。
だが、今は違う。深淵の王を倒すため、またとない綺羅星が地球に集っている。
ゆえに、それももう一度輝くことができるのではないか。今度は、真反対に位置する相手を呑み込むことができるのではないか。
ジーンが視たもの。それは、終わりのない闇。
しかし闇があるならば、当然そこに「それ」も存在しなければおかしい。
宇宙の果てに、邪神に置き去りにされ、いまだ身動きは取れない。その封印が、ソーとジーンの声を聞き届けたシルバー・サーファーの手によって、解かれる。
直後に、駆け巡る一閃。地球に降り立ったシンビオートやドラゴン、ヌルを薙ぎ払っていく。ただしそれが宿るのは、サーファーにでも、ジーンにでもない。
現代の地球で、もっともヌルの対極に位置する男。エディ・ブロックに、「それ」は行き着く。かの力の名は…光。またの名を、エニグマ・フォース。
これまで幾度となく地球の危機を救った、キャプテン・ユニバース。その名を、ヴェノムに最も近しい男が継承した時、ついに最後の戦いが幕を開けます。
あるべきものを、あるべき場所へ。
この地球は、あの男は、ヌルと戦うべき存在として、選ばれたのだ。
どちらを見ても暗黒、虚無。それでも、何かできることはないか。次第に立ち上がり始める、反逆者たち。やはりヒーローとは、こうでなくては!
前回に続いて、【Venom】、【King In Black】の順でご紹介。地獄にあっても、決して膝をつかない英雄たちの生き様を見よ!

それでも彼らは、神を騙る魔物と戦う。
【Venom #33】
エディ・ブロックは、ヌルの構成するハイブにおいて、レックス・ストリックランドとフラッシュ・トンプソンと再会した。ここは、シンビオートとの関わりを持った者たちの魂が留め置かれる場所。
ならば、ここからヴェノムや他のシンビオートと繋がれば、同様に囚われている者たちを解き放ち、ヌルに対して反撃を仕掛けることもできるのではないか。誰よりも長くシンビオートを纏ってきた男は、ヌルやディランとのコネクションを感じながらそう語る。
しかしそれは、ハイブのより深淵へと挑む決死行。もし気づかれれば、今度は魂ごと消されかねない。それでも、エージェントと呼ばれる者たちは、飛び込む覚悟をするのだった。

ならば親のすることは、彼を護ること。なんとしてでも。
<親子の選択>
まずは、スパイダーマン/ピーター・パーカーとディラン・ブロックの、とある語らいからスタート。【King in Black #3】では、勝利のためとはいえ、ピーターやリード・リチャーズが子どもに戦場への同行を求めるのは、少々違和感があったのですが、それはこちらでフォローされています。
シンビオートの神による侵攻、漆黒に染まった地球。何より、父親の喪失。どこを見ても、失意しかない、希望などない。そこにディランがヌルと同質の力、シンビオートを操る力を持っているとあれば、縋りたくなる、頼りたくなるのは当然のこと。
…だからといって、スパイダーマンは彼に、戦うことを決して求めませんでした。そうするしか、勝利の道はないにも関わらずです。
彼に関わらず、多くのヒーローは必要に迫られて、そう呼ばれる存在になった。しかし今ディランは、その岐路に立っている。ならば、必ずしも求められる通りのことをする必要はない。
それよりも、助けを求める勇気を持ってほしい。そうしてくれたら、ヒーローは君を何があっても助けよう。なにせ、これまでもこの程度の危機何度も乗り越えて来たのだから。
スパイダーマンの名調子。その裏には、多くの強がりが含まれていることを、私たちはよく知っています。そうでなくとも、彼らに余裕がないのは明らか。
にも拘らず、少年に投げかけられたのは優しい言葉。道が一つだなんてことは、絶対にない。これはディランを元気づけるだけでなく、ピーター自身が希望を見出すための主張でもあるのかもしれません。

何があっても達成しないと嘘だ。
そして、往くか往かざるか、選択を迫られている男がもう一人。誰あろう、ディランの父親、ヴェノムを奪われた裸の男、エディ・ブロックです。
ピーターとの問答がありつつも、(様子が平常ではないという不安材料を残しながら)死地へと赴いたディラン。ソーの救援があり、段々とヌルの支配を解いていきます。キャプテン・アメリカを始めとした黒く染まったヒーローたちも、ハイブから姿を消していく。
それによって開かれたのが、赤いゲート。すなわち、ハイブのより深部へと向かう手段。今までいたのが、現世と死後の世界を繋ぐ煉獄ならば、ここから先は紛れもなく地獄。
異様と呼ぶのも生ぬるいその場所へ、エディは迷わず足を踏み入れます。ここは邪神のより内面であると同時に、彼の言うことを聞かないシンビオートを隔離する場所。
であれば、エディ、レックス、フラッシュといったシンビオートホストたちがこれと繋がれば、虚の王の支配を解き放つ、乾坤一擲になりうる。こんな場所に入り込めたということは、段々と事態が好転し始めたと見ていいのでしょうか。

反撃するは今。シンビオートホストたちよ、続け。
しかしそれは、ヌルに気づかれて当然の、捨て身特攻。成功する確率が、どれほどあろう。賭けというには、あまりにも分が悪い。
なおもエディが進むのは、自己犠牲の精神があればこそ。ここで見事に散って見せることで、子が、他のヒーローが、世界が救われるならば…
これを止めたのは、フラッシュ・トンプソンでした。エージェント・ヴェノムと呼ばれた彼の死に際して、エディはその墓前で代わりに絶対にヒーローになってみせると誓いました。
キャプテン・アメリカに憧れ、彼のように国に奉仕すると誓い、散って行ったフラッシュにとっては、一見望ましい手向けの言葉。ただそこに、我が身を滅ぼす覚悟を感じ取ってしまっては、到底受け入れるわけにはいかない。
そのための反論を、今ここでしてみせます。
エディがヒーローになると言ってのけたのは、彼がこれまでの失敗を悔いていたから。悪人のレッテルを剥がそうともがきながら、それから逃れられないと諦めていた。だからこそ、振り絞って出た言葉。
しかし、本当にそんな考えを持つ必要があるだろうか。失敗をしていない人間なんて、どこにもいない。それでキャップやスパイディと肩を並べる資格がないなんてこと、絶対にない。
英雄と呼ばれる人々が戦えるのは、失敗なんて恐れずに、今を生き抜こうとしているから。「子」を護るため、必死で戦っているから。

だが今ここには、「俺たち」がいる。最高のエージェントたちが。
そして、それをこの地獄で、誰よりもしようとしているのが、エディ・ブロック。君はもうヒーローなんだ。かつて同様にヴェノムとなり、ヒーローになろうとした男の言葉。これが今度は、どれだけエディの支えとなったことでしょう。
ここでようやく、彼にも選択の時が迫ります。ヌルの支配に、ひたすら脅かされる時間。これを打ち破るため、死を覚悟しなければならない時間。そんな一本道は、もう通り抜けた。
往くか、往かざるか。ディランがそうであったように、エディにも道を択ぶ瞬間。その答えはもう、決まっていました。

さあヒーローよ、打って出よう。「俺たち」はヴェノムなんだ。
今唯一シンビオートを纏っているフラッシュが先に飛び込み、エディは待ちの姿勢。無謀にしか見えない特攻と、それに相棒を臨ませる理不尽。ここで起きているのが、そんなものではないのは明らか。
助けを求める勇気と、地獄を進む意志を持ったエディ。そんな彼を信用し、護ると決めたフラッシュ。
選択を終えた彼らは、まさにヒーロー。二人のヴェノムの雄たけびが、ヌルの世界をも突き破ろうとする。
…しかし、まだ邪神も滅んではいない。精神世界での踏ん張りが、現世にはどのような影響を与えるのか。

暗黒の神の眷属ではない。「アンチ」ヌルドラゴンが、地獄に飛翔した。
【King In Black #4】
ヒーローたちの切り札として立ちはだかったソーも敗れ去り、地上ではアイアンマン/トニー・スタークがかろうじて抵抗するのみ。頼みのディラン・ブロックには、ヌルの甘い誘惑が迫る。
お前は、こんなところで終わる必要はない。お前は、特別な存在なんだ。息子よ、これからは共に、この世界を支配していこう。
少年は神の手を取るかと思われたが…脳内に響く声に促され、彼は誘いを拒絶した。目の前にいるのは、父親の仇なのだから。

だが、「光」はここにある。ここから始まる。
<お前は神でも父でもない>
地獄で敵、そして物語の中核へとエディ・ブロックが迫るのと時同じくして、ディランも邪神ヌルと直接対峙。黒塗りにされた世界においては、その声に、危うくなびいてしまいそうになります。
ましてや、彼の瞳には黒い闇。ヌルの影響を受けている証。破壊衝動を持って、そのままシンビオートのように虚の王の眷属に変えられてしまうのではないか。
ところが、そうはなりませんでした。瞬間再現されるのは、エディがハイブで見た光景。ディランが逆にヌルの能力を利用し、囚われていたヒーローたちを解放していく。
僕とお前の間に特別な繋がりがあるというのなら、それを存分に使ってやる。支配を反転し、逆襲の狼煙として。
エディの息子として、何度も死地を潜り抜けて来た子ならではの啖呵。ただそれは、決して一人で成せたものではありません。
まず大きな助けとなったのは、少年を勇気づける声。闇に屈せず、そこから脱せられるように、ディランを導く。
その優しい波の正体は、X-MENの誇るテレパス、ジーン・グレイ。彼女が満を持して、その念波を最大限に活用しているのです。

彼女の練り上げた策が、戦場を駆け巡る。
さらにジーンは、ディランが反撃に出たのを見計らって、現世に戻ったヒーローたちにも囁き。これまで劣勢だったのは、波状攻撃と言えば聞こえは良いが、各個での戦いに拘っていたから。
炎、音、魔法…それらは、たしかにシンビオートの弱点かもしれないが、一つ一つでは弱い。では、束になってみればどうだろう。
超能力者の号令により、ドクター・ストレンジ、サイクロプス、ヒューマン・トーチ、インビジブル・ウーマンが一斉蜂起。最大級のエネルギーが集まって出来た光の前には、闇の軍勢もひとたまりもない。
そこに、これまで苦戦を強いられていたヒーローたちも続々加わるのだから、なおさらです。誌面を覆う強火力は、実にスカッとする展開。

黒に染まったニューヨークの汚濁を、押し流していく。
しかし、これではまだヌルを弱らせている止まり。闇の進軍を止めるには、もう一押しが必要。続けてジーンは、隙の出来たシンビオートの神の精神に入り込みます。
まず見えて来たのは、やはり強すぎる漆黒の意志。宇宙開闢以来練り上げられてきた侵略、支配欲にはつけ入る余地がないように見える。
そうして諦めもよぎった時、一つの光明。たしかにヌルとは、恐るべき存在。ただ彼とて、闇そのものではない。なぜなら「それ」は、彼が生まれ出づるよりもっと前から存在していたのだから。
ならば、その傍らにはあの力があったはず。この宇宙とは、闇と「あの力」が争って出来上がったのだから。遥か大昔に、それは闇の前に敗れ去ったのかもしれない。その時は、あまりに若く、か細い力だったのだろう。
だが、今は違う。深淵の王を倒すため、またとない綺羅星が地球に集っている。
ゆえに、それももう一度輝くことができるのではないか。今度は、真反対に位置する相手を呑み込むことができるのではないか。

しかし闇があるならば、当然そこに「それ」も存在しなければおかしい。
宇宙の果てに、邪神に置き去りにされ、いまだ身動きは取れない。その封印が、ソーとジーンの声を聞き届けたシルバー・サーファーの手によって、解かれる。
直後に、駆け巡る一閃。地球に降り立ったシンビオートやドラゴン、ヌルを薙ぎ払っていく。ただしそれが宿るのは、サーファーにでも、ジーンにでもない。
現代の地球で、もっともヌルの対極に位置する男。エディ・ブロックに、「それ」は行き着く。かの力の名は…光。またの名を、エニグマ・フォース。
これまで幾度となく地球の危機を救った、キャプテン・ユニバース。その名を、ヴェノムに最も近しい男が継承した時、ついに最後の戦いが幕を開けます。

この地球は、あの男は、ヌルと戦うべき存在として、選ばれたのだ。
- 関連記事
-
- Whawt's a god to a king?【King In Black #4】&【Venom #33】 (2021/02/21)
- The heroes of the Marvel Universe are reeling【King In Black #3】&【Venom #32】 (2021/01/24)
- Reveal the true meaning of Knull-mas【King in Black: Iron Man/Doom #1】 (2021/01/07)
- DARKNESS REIGNS! 【King In Black #1-2】&【Venom #31】 (2020/12/24)
- 【King in Black】襲来!【Web of Venom】を読もう その2 (2020/12/14)
スポンサーサイト